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會田瑞樹作品演奏会「夢みることばたち」終演!

執筆者の写真: 至 小川
至 小川
2 日前
読了時間: 4分

 7月19日、長野市竹風堂大門ホールにて「夢みることばたち」が終演。作曲家・會田瑞樹氏を知るものとして、僕の故郷長野市でこのコンサートをすることは一つの夢であり、最良の形で実現したことをとても感慨深く感じています。

 會田瑞樹くんはもはや日本を代表する打楽器奏者として、確固たる立場と信頼を築いている人物ですが、その人当たりや他者に対するフラットな姿勢はいつになっても変わりません。その人柄は、近年爆発的に展開されている彼の作曲作品においても通底しているように感じます。とりわけ僕が深く関わらせていただいた、彼の怪作《世俗歌集「北原白秋のまざあ・ぐうす」》において、最もそれを強く感じさせてくれました。これはかのマザーグースを、そのうちの120篇を日本で初めて紹介した北原白秋の邦訳を全て音楽にした巨大な作品であり、通奏すればその時間は3時間半に達する怪物のような作品です。2023年に生まれた1分間のちいさな歌〈世界中の海が〉(全作の中で言えば101曲目)が誕生した時から、2026年の早稲田における全曲演奏に至るまで、ピアニストとして・指揮者として関わらせていただきました。2026年にこれらのうち50篇をまとめたピアノ伴奏版の楽譜が音楽之友社から出版されると聞いた時、この楽譜を持って長野で演奏を…と胸に秘めていたわけです。

 歌ってくださる方はもちろん、同じく〈世界中の海が〉の時から彼の《まざあ・ぐうす》を歌い続けている、まさに會田作品のエキスパートと言える渕田嗣代さん。後半の全プログラムを渕田さんに飾っていただきました。

 前半には會田くんのピアノソロ作品が並びます。《まざあ・ぐうす》も例に漏れず、彼の音楽には文学的なインスピレーションが多く影響しています。前半の作品群もまさにそうした作品を並べました。それぞれの楽曲解説は、こちらのページに委ねます。

 一曲目は《星への航海のための前奏曲》。サン=テグジュペリの名著『星の王子さま』から着想を得た作品です。

會田瑞樹:星への航海のための前奏曲(2020)

続いて、《夢のなかの夢》。こちらは夏目漱石の夢幻的な物語『草枕』から生まれました。

會田瑞樹:夢のなかの夢(2024)

3曲目は《一茶の俳句によるピアノのための印象》。名の通り、小林一茶の俳句から。こちらは本公演のために會田くんが書き下ろしてくれた新作です。

會田瑞樹:一茶の俳句によるピアノのための印象(2026)

前半最後を飾るのは、ピアノと語りのための《親指太郎とダチョウ》。フランスの国民的詩人、ジャック・プレヴェールの「ダチョウ」から生まれました。ここではなんと會田くん本人が「語り手」となり、出演してくれました。またこれが良い語りなんです…!

會田瑞樹:親指太郎とダチョウ(2020)

そして休憩をはさみ、大作《世俗歌集「北原白秋のまざあ・ぐうす」》を渕田嗣代さんと。26曲を通奏、およそ50分を要しました。これを見ると長いようですが、120曲通奏3時間半を体験していると不思議と「短いな?」と感じるくらいです。《まざあ・ぐうす》の演奏中の時間感覚はいつもどこか異次元的なものになっているように感じる…。

會田瑞樹:世俗歌集「北原白秋のまざあ・ぐうす」より(2023-26)

 長時間の全プログラムを終えてもなお、温かい聴衆の皆様の反応に「ああやはりここで演奏してよかった」という思いに胸いっぱいになりつつ。アンコールでは一転して長野県歌《信濃の国》を、渕田さんのリードによって会場の皆様と大熱唱。こんな県歌を持つ県も他にないですね(どうでもいい独り言だが、この歌をここまで市民に定着した立役者は間違いなくオーケストラ版、斉唱版、同声2声版などの編曲を行った小山清茂のお陰なのだから、もっと注目を与えるべきではと常々。よい伴奏です)。  長野滞在中の會田くん、渕田さんは、期間中ディープな飲み屋やレトロなホテル、善光寺下の蕎麦から果ては戸隠神社奥社の踏破まで、心行くまで満喫することができました。僕も感無量の数日間。楽しかった。またこういうの、やりたいなあ…。


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